エンジニアがとりあえず守っておきたい労働法(労働時間編)

Commentary
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今回は、エンジニアがとりあえず守っておきたい労働法のPart1です。
議題としては労働法の労働時間に関する部分をピックアップしてお話していきます。

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実際に筆者は法律に関しては素人です。
画像にも記載しましたが、本記事では「法的解釈はこうである。」ということを議論する場ではなく、働くうえでこんな法律があるから注意しましょうという興味を持っていただくための場となります。

目的

本記事の目的は以下の通りです。

  • 労働法における労働時間を理解する
  • 実際のケースから労働法の挙動を理解する
  • 労働法から自己防衛の手段を確立する

労働法

労働法
労働法

まず、労働に従事する上で主に関わってくる法律について解説します。

  • 労働基準法 : 労働条件に関する基準を定めている法律
  • 労働組合法 : 労働組合の規律などを定めている法律
  • 労働関係調整法 : 労働争議などを定めている法律

労働に関する法律はたくさんありますが、とりあえずこの三法を労働三法と巷では呼んでいるらしいです。
今回は、労働時間に関する法律なので、労働基準法に焦点を当てて解説していきます。

労働基準法

労働基準法
労働基準法

労働基準法は、労働の条件や労働契約、労働時間に関する法律です。
このシリーズで解説するポイントは以下の通りです。

  • 法定労働時間と所定労働時間
  • 時間外労働協定(36協定)

労働時間と残業時間の考え方

労働法の中身に入る前に前提となる労働時間と残業時間について解説します。

労働時間と残業時間の考え方①
労働時間と残業時間の考え方①

まずは、オーソドックスな固定勤務の労働時間です。
固定勤務は労働契約により、労働に従事する時間が決められている契約形態になります。
一般的な企業であればおおよそこの契約になります。9:00~18:00までが勤務時間などといったようにベースとなる勤務時間が定義されている場合がこの勤務形態になります。
この場合、労働時間は定められた9:00~18:00になります。
逆を言えば、これ以外の時間はすべて残業時間となります。(例外あり)
残業というと、終業後に残って仕事をする場合を想像しますが、始業前に仕事をする場合でも残業扱いとなります。
1つだけ例外があるとすれば、シフト勤務や常駐先の勤務時間がずれていることで自社の勤務時間との差異が生じてしまう場合は、8:00~17:00など勤務時間をずらすことで対応している企業もあります。
ついでに、固定勤務の場合は勤務時間を1分でも超えた場合は残業が発生します。
よくフレックスと混同しがちですが、固定勤務の場合は1日単位で残業時間が加算され、ついた残業時間は減りません。

労働時間と残業時間の考え方②
労働時間と残業時間の考え方②

フレックスの場合、固定勤務と違う点があります。
それは、特定の期間内でベースとなる労働時間が設定され、それを超えた時間が残業時間となります。
固定勤務の場合、1日単位で残業が発生しますが、フレックスの場合、9:00~20:00まで働いてもその時点では残業になりません。
月末などに集計したタイミングで残業時間が確定します。
そのため、昨日は9:00~20:00まで勤務したが、今日はフレックスを活用して9:00~16:00まで働けば残業が±0となります。

法定労働時間と所定労働時間

法定労働時間と所定労働時間
法定労働時間と所定労働時間

まず、押さえておきたいワードとして法定労働時間所定労働時間があります。

法定労働時間

法定労働時間は、労働基準法第32条で定められている労働時間になります。
この法定労働時間については、国が定めた労働時間で休憩時間を除き、1日8時間・週40時間と定められています。
この1日8時間を超えて労働を行わせることは違法になります。
違法になるのは、労働者側ではなく、会社側が違法となり6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金となります。

所定労働時間

所定労働時間は、企業が定めた労働時間となります。
この所定労働時間はあくまで企業が定めた労働時間のため、法律で定められている法定労働時間以上に設定することはできません。
そのため、所定労働時間の上限は8時間が最大となります。

時間外労働協定

前項で1日8時間、週40時間を超える労働は違法と記載しましたが、皆さんが行っている残業はどうでしょうか?
この労働基準法の法定労働時間には1日8時間・週40時間を超えて労働が可能になる例外があります。
それが時間外労働協定となります。

時間外労働協定
時間外労働協定

時間外労働協定

時間外労働協定は労働法36条に定義されており、書面で協定を締結すると1日8時間を超える労働が可能になります。
この36協定は入社時に記入する労働契約書と同時に締結する場合が多く、時間外労働をしている場合、大体の場合はこの協定に基づく時間外労働を行っています。

時間外労働協定の上限

時間外労働協定の上限
時間外労働協定の上限

36協定を締結すれば青天井で時間外労働が可能になるわけではなく、36協定においても時間外労働の上限値は存在します。
この時間外労働上限は週単位と月単位・年単位の上限があります。
労働形態によって変わるので一概に何時間というのは言えませんが、フレックスが無い会社だと月45時間というのが上限になってきます。
月45時間の時間外労働なので、よくあるパターンとしては以下の通りです。

  • 1か月20営業日の場合、1日平均10.25時間労働(9時出社、20時15分退社)
  • 週休1日で、毎週土曜日に8時間勤務

また、この時間外労働時間の上限である月45時間を超える労働を行った場合、企業側に6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金があります。(超過社員1名あたり)

特別条項付き36協定

労働基準法にはさらなる例外があります。
それが特別条項付き36協定です。

特別条項付き36協定
特別条項付き36協定

特別条項付き36協定は36協定の上限突破が可能になる魔の協定です。
通常の36協定では対応できないような状態に陥った場合に適用されます。
この特別条項浮き36協定は適用する条件にかなり制約があり、適用する場合、個別に協定の締結が必要になります。
残業の上限は月100時間未満半年平均80時間未満と通常の36協定よりも残業時間の上限が解放されています。また、年6回までという回数制限も設けられています。

特別条項付き36協定は、ただ忙しいからという理由では締結することができずに、突発的であり且つ大規模な場合が条件となります。
エンジニアの場合、クラウドで日本リージョン全体で障害があり、全社的に業務が停止するなど復旧を最優先させなければ業務継続が難しいような場合に適用してほしいですね。

まとめ

今回は、エンジニアがとりあえず守っておきたい労働法のPart1として労働時間に関する記事をまとめました。労働時間については、原則1日8時間、36協定を締結しても1日平均10時間程度なので、意外と残業ができないかなーと思います。
近年は労働の長時間化が問題視され、ほとんどの企業で残業するなムードなので、残業時間は減る傾向にあると思いますが、残業時間の管理を企業側に任せ続けるのではなく、働くうえで必要な法律を学習し、自身がどのような労働状態になっているのか?を意識することが重要だと思います。
残業も業務命令という武器を使って脅す企業もあると思いますが、そこはきっぱりと「36協定の上限を超えてしまうので、これ以上残業できません。」と言える関係性になってほしいですね。

おまけ

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