エンジニアがとりあえず守っておきたい労働法(賃金編)

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今回は、エンジニアがとりあえず守っておきたい労働法のPart3です。
議題としては、労働法における賃金の部分をピックアップしてお話していきます。
前回まではこちら。

エンジニアがとりあえず守っておきたい労働法(労働時間編)
エンジニアがとりあえず守っておきたい労働法(休日編)

免責事項

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筆者は法律に関しては素人です。
画像にも記載しましたが、本記事では「法的解釈はこうである。」ということを議論する場ではなく、働くうえでこんな法律があるから注意しましょうと興味を持っていただく場となります。

目的

本記事の目的は以下の通りとなります。

  • 労働法における賃金を理解する
  • 実際のケースから労働法の挙動を理解する
  • 労働法から自己防衛の手段を確立する

賃金

賃金
賃金

日本における賃金は、労働基準法第24条で労働の対価として労働者に支払うものとして定義されています。
賃金の支払い原則として、以下のように定義されています。

  • 通貨による支払い
  • 直接支払い
  • 全額支払い
  • 1ヵ月1回以上の支払い
  • 一定期日の支払い

支払いの原則については、基本的に給与を直接現金で手渡しが原則らしいですが、一般的な企業でれば振り込みによる支払いが一般的だと思います。
また、全額を月1回以上、同一の日付に支給されるため、2ヵ月に1回支給の会社などはダメ見たいです。
賃金は都道府県の最低賃金以上の支払いが必要になります。
東京都の場合は2022年10月1日より時給1,072円に改定されています。
つまり、1ヵ月160時間の労働を行った場合、基本給は171,520円以上となります。
フルタイムで仕事をしてこの総支給以下の場合は、然るところに相談したほうが良いと思います。

割増賃金
割増賃金

基本的な賃金の話の補足として、割増賃金というものがあります。
割増賃金は法定労働時間を超えて労働を行った場合に支給される賃金で通常の賃金よりも+αで支給されます。
一般的に使用される種別としては、時間外労働の割増率25%や休日出勤時の35%などがあります。
休日出勤の割増賃金ですが、ここで言っている休日出勤は労基法で定められている法定休日(日曜日など)を指しており、祝日や土曜日は企業側に支払い義務が無いので、注意が必要です。
また、法定休日に出勤する場合で振休を取得予定の場合は、休日の置き換えが発生するため日曜日であっても平日判定になります。

この割増賃金については、割増率の足し算が発生するので、割増率が複数重なる場合は合計の割増率となります。

労働時間と賃金の考え方

賃金と割増率が分かったところで、実際の労働時間お賃金がどのような挙動をするかを説明していきます。

労働時間と賃金の考え方①
労働時間と賃金の考え方①

まずは、平日に残業をしたパターンです。
時給を1,000円として9:00~20:00まで労働した場合です。
この場合、9:00~18:00の間は法定労働時間のため、時給1,000円で計算します。
しかし、18:00を1分でも超えると時間外労働時間(残業)となり、割増賃金が発生します。
この場合、18:00~20:00までの2時間残業しているので、この2時間分については、125%の賃金が支給されます。そのため、残業した2時間は時給1,250円で働いていることになります。
実際のところ1日8時間を超える場合は1時間の休憩時間が発生するため、9:00~18:00まで9時間ありますが休憩時間を引いた8時間で計算しています。

労働時間と賃金の考え方②
労働時間と賃金の考え方②

次に、平日に残業をして深夜時間帯まで通しで残業をした場合の賃金を計算していきます。
9:00~18:00は時給1,000円ですが、18:00~29:00までは時間外労働時間のため125%の支給となりこの時間については時給1,250円となります。
そして、22:00~29:00は深夜労働となり、時間外労働時間の25%の割増率に加え、プラスで25%が加算されます。
そのため、22:00~29:00については時給が1,500円となります。
このように、割増率のバフは重ね掛けが可能になります。

労働時間と賃金の考え方③
労働時間と賃金の考え方③

最後に休日出勤で深夜労働をした場合の賃金を計算していきます。
休日出勤時は、法定労働時間に関係なく全時間帯で135%の支給となるため、時給1,000円で働いている場合は、休日出勤をした時点で時給1,350円となります。
また、休日出勤をして22:00~29:00まで働いた場合、割増率は60%となり時給1,600円となります。

基本給と総支給・手取り

賃金には、ベースとなる基本給があります。
これは、毎月支払われる給与で残業代や手当が含まれないピュアな給与です。
時間外労働時の割増賃金はこの基本給ベースに25%などの上乗せを行います。
そのため、基本給が高いほど残業代の額が多くなります。
基本給に残業代や各種手当などを含めた支給する合計を総支給額(額面給与)と言います。
総支給額から税金や社会保障費などを引いて最終的に手元に残る給与が手取りとなります。

よくあるあるパターンなのが、基本給を最低限に設定して各種手当(役職手当など)で総支給額をマシマシにして月収例として出している企業があります。
これについては一見手取りが多く見えるので注意が必要になります。
というのも、賞与や退職金は基本給ベースの給与で計算されることが多いため基本給が低い場合、退職金や賞与額が低くなる場合があります。

ついでに、総支給額から手取りのざっくり計算ですが、総支給額の7割~8割程度が手取り額となります。そのため、月給が20万の場合、手取りは15~17万円ほどになると思います。

みなし残業制度

IT業界あるあるなのですが、意外とみなし残業制度というものがあります。
「みなし残業20時間分を含む。」と記載がある場合です。
これは、あらかじめ20時間分の残業を見込んで、給与に混ぜ込んで支給します。といった制度で、20時間分であれば給与に含まれて支給されるので、20時間未満の残業の場合は、別途で残業代が支給されません。(ただし、休日労働なのどイレギュラーな場合は別途残業代として支給される場合がある。)
これについては、賛否両論ありますが、普段から残業しないような立ち回りをしているのであれば、残業をしなくても20時間分の残業代を手に入るので、個人的には良い制度だと思います。
ただ、これを見て「あーこの企業は20時間の残業はデフォなんだー」とおもう方もいらっしゃるので一概には言えませんが、残業する月は20時間でも40時間でもするのであまり関係ないと思います。

まとめ

今回はエンジニアがとりあえず守っておきたい労働法のPart3ということで、賃金の話をしてみました。
エンジニアに関して言えば、職種によってはかなり時間外労働を行ったり休日出勤をしたりするため、比較的多くこのような事象に立ち会えると思います。
個人的には残業は少ないほうが良いですが、避けられない残業や残業してやり切ったほうが今後のメリットが大きい場合もあるので一概に残業は無いほうが良いわけではありませんが、世の中的にまだ残業代でちょろまかしているような企業もなくは無いので、しっかりと自分の給与を確認して残業代が正しく支給されているか?を確認しておきましょう。

おまけ

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